とのしょうアート化計画2015

 

クリックすると、信岡フラットミュージアムのHPにリンクします。

2015年のとのしょうアート化計画は、小豆島を飛び出し広島県福山市の信岡フラットミュージアムで開催しています。

信岡フラットミュージアムは、庄屋として400年以上に渡って街を深い関わりを持つ国登録有形文化財の信岡邸が、2016年春にミュージアムとして新しい歴史を刻みます。

それに先駆けて、アートと街と美術館のこれからを考えるをテーマに「とのしょうアート化計画 拡張現実美術館ー聖地巡礼ー」を週末限定で2016年1月31日まで開催します。

信岡フラットミュージアム
信岡フラットミュージアム

本展覧会では、「とのしょうアート化計画」と「信岡フラットミュージアム」の展示を通して、 拡張現実美術館を体験できます。

1F展示
1F展示室「とのしょうアート化計画」

◀︎はじめに — 20世紀の美術館について—▶

個人のアートコレクションを起源とする美術館は、1929年に開館したMoMA(ニューヨーク近代美術館)以降、世界中にある多くの現代美術館は、「ホワイトキューブ」と呼ばれる白い空間に現代美術の作品を置いています。

ホワイトキューブの白い空間は、どんな作品にも対応できる便利でバーチャルな額縁・台座として美術館建築のメインストリームとなり、20世紀のアートは、ホワイトキューブを前提で作られるようにまでなりました。

アート作品にフォーカスを合わせるために作られた無菌室のようなバーチャル空間は、そこに偶然あるゴミでさえも「作品」として見えてしまうという、絶対的空間となり、建築家で評論家のジョセフ・ジオヴァニーニは、それを「何もない空間に物質が浮かんでいる冷たいニュートン的宇宙空間」と例えています。

効率的で絶対的空間となった美術館は、ホワイトキューブをという空間をカンバスに見立てた「インスタレーション」という新しい表現方法を与えました。しかし、美術館という空間は「アート」と「社会」を遮断する額縁にもなってしまいました。

その後、無菌室のような美術館から飛び出す新しいアートの展示場所として、より社会と接点を持つ事ができる「街」が台頭しました。

そして、その場所の風土・歴史・政治・文化などに焦点をあてた作品制作を行うサイトスペシフィック・アートという表現活動が生まれました。

2000年以降、「アートで地域活性」をスローガンとした全国各地で行われているアートプロジェクトで展示されている作品の多くはサイトスペシフィック・アートです。アートは、プロジェクトという活動形態で「街」を新しい表現の場として、社会経済システムの中に組み込まれていきました。そして、政治・経済・文化の様々な思惑を伴うプロジェクトの中のアートは、ディズニーランドのようなエンターテイメントのように扱われる危うさを含んでいます。

これらのアートプロジェクトの目的は様々ですが、根底にあるのは「アートによる地域のアイデンティティの再発見・向上」です。言い換えれば、「街を美術館にする」ことです。どんな小さな街や集落にも、一言では語り尽くせないくらいの歴史や文化があり、その中のひとつをテーマに作品を作っても、10人のアーティストがいれは、10の表現・アート作品ができます。街を美術館にするには継続的活動が必要となり、それには経済的・物理的な問題が深く関わってきます。

1F展示2
とのしょうアート化計画の展示作品

◀︎拡張現実美術館について▶︎

本展覧会のタイトルである「拡張現実美術館」には、ふたつの意味があります。

… ひとつ目は、システムとしての「拡張現実美術館」

1Fで、展示している「とのしょうアート化計画 拡張現実美術館ー聖地巡礼ー」は、「街を美術館にする」ためのひとつの試みです。

デジタルのAR(Augmented Reality=拡張現実)技術を利用して、アート作品をアーカイブ化。

それは、いつでもどこでも作品が鑑賞可能となり、アートだけでなく、そのバックグラウンドにある地域のアイデンティティとも有機的に繋ぐ事ができます。そして、経済的に美術館を持つことができない地域にとって世界中からアクセス可能な美術館が持つことができます。

さらに、街が継続的な表現の場になることは、アーティストにとっても、魅力的な表現の舞台となるだけでなく、街とアートの本来的な恊働関係が成り立たせる可能性があります。

このシステムが、拡張現実美術館です。

… ふたつ目は、アートという行為が「拡張現実」と言う事。

本展覧会では、信岡家の歴史をサイトスペシフィック・アートのテーマにして、QRコードから読み取る5つの映像を作っています。

信岡家の歴史をリサーチ・取材を通してアーティストの頭の中に浮かんだのは、「もしも、建物がしゃべることが出来たなら、彼らが体験した歴史を記憶として、どんな事を語ってくれるだろうか…」と。

実際の建物やモノは、しゃべる事はでありませんが、そこにある建物やモノたちと会話したいと思って作った作品…つまり、アートという行為が、拡張現実なのであり、日常の生活空間の中であっても、その場所は美術館となりえるのです。

パンフレット
パンフレット

◀︎展覧会「拡張現実美術館ー聖地巡礼ー」について▶︎

パンフレットのQRコードで拡張現実である作品は観れますが、作品の起源となった現実の空間を感じることはできません。

拡張現実美術館では、拡張現実というアートと実在の空間でひとつの作品となり、その空間に訪れることが本来の意味での鑑賞となります。

バーチャルな空間で完結しているのではなく、アート作品の起源になっている現実空間を「聖地」として、アーティストと鑑賞者が「巡礼者」になり、その場所に存在する固有の時間と空間を体験する。

それが、拡張現実美術館の聖地巡礼です。

そして、街と深い関わりを持ちながら400年の歴史を持つ信岡邸が、ミュージアムとして新しい歴史を刻むこの場所で、21世紀のアートと街と美術館の関係を考える展覧会「拡張現実美術館ー聖地巡礼ー」の開催は、意義深い出来事と言えるでしょう。

 

 

 

 

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